鈴木祐さんの『社会は、静かにあなたを「呪う」』という本を最近読みました。
その中で「快楽は、不快との落差で生まれる」といういわゆる「良性マゾヒズム」についての話がありました。「快楽」とは「何かが単体で気持ち良いのではなく、それまでの苦痛やストレスが解消される瞬間の『振り幅』こそが快感の正体である」という考え方が元になっています。
日常的な感覚の面から、いくつか例を挙げると以下のようなものがあるかと思います。
1. 「解放」による快楽
最もイメージしやすいのは、マイナスの状態がゼロ(普通)に戻る時の心地よさです。
- サウナと水風呂: サウナで熱さに耐える「不快(ストレス)」があるからこそ、その後の水風呂や外気浴での「ととのう」という強烈な快感が生まれます。
- 空腹と食事: お腹がペコペコで少し苦しいくらいの方が、食事を一口食べた時の美味しさ(快楽)は倍増します。
- 仕事終わりの一杯: 一日中、緊張感や疲れという不快の中にいたからこそ、終業後のリラックスが深い快楽に感じられます。
2. 脳の仕組み(報酬系)
脳内では、ストレスを感じると「コルチゾール」などの物質が出ますが、そこから解放されると、脳は「報酬」としてドパミンやエンドルフィン(脳内麻薬とも呼ばれる多幸感をもたらす物質)を分泌します。
この分泌量は、変化の幅(ギャップ)が大きければ大きいほど多くなると言われています。
3. 精神的な側面:カタルシス
精神的な不快感(悲しみ、恐怖、不安)が解消されること(=カタルシス)も快楽に繋がります。
- ホラー映画や絶叫マシン: 「怖い」という強い不快・緊張をあえて味わい、それが終わって「安全だ」と確認できた瞬間の安心感に快楽を覚える構造です。
- 目標達成: 苦しい練習や勉強という不快な時間を耐え抜くからこそ、達成した瞬間の喜びが爆発します。
FIREを目指している現在だからこそ意識すべきこと
50代でFIREを目指している現在、「快楽は、不快との落差で生まれる」という感覚は、これからも意識しなければならない視点だと改めて感じました。
最近は「ずっと楽で快適な状態」ばかりを求めていた気がしますが、その状態が続くと、「不快との落差」がなくなるため、次第に何に対しても快楽を感じられなくなってしまう危険があると思いました。
もし、仕事や人間関係で嫌なことがあったとしても、それらの「苦労」や「不便」は、次にやってくる「喜び」をより鮮やかにするための「スパイス」や「前座」のような役割を果たしている、という風に思えることが大切だとおもいました。

